女性就労が拡大する一方で、昇進の機会が少ない日本の実情

月曜日 , 29, 1月 2018 女性就労が拡大する一方で、昇進の機会が少ない日本の実情 はコメントを受け付けていません
北野氏は就職活動の時期、女性を区別しない会社を探しました。「キャリアフェアで、企業は男女に如何に平等の機会を提供しているかを説明しましたが、その一方で説明をする男性の回りで、多くの女性がパンフレット配りをさせられていました。」この21歳の女性は、最終的にアメリカのデータ会社であるブルームバーグを選びました。 日本の女性の就労意識は高く、15歳から64歳のうち68%が就労しているか、就労先を探しており、その数字はアメリカと同レベルです。結婚や育児のために一時的に退職するため、女性の年齢別就労の割合はまだ「M字型」です。しかし、現在は中央の減少部分の凹みが小さくなってきています。最初の子供が生まれた後も女性が仕事を続けている割合は2011年の38%に比べて、今日は50%以上になっています。 オフィスの文化も少しずつ変化しています。女性労働者が低い階級に留まり、「オフィスの花」と呼ばれていた時代は終わりました。有名な建築家の妹島和世氏が1970年代に働き始めた頃の様に、妊娠したら育児はできないと考える女性は少なくなっています。当時は、キャリアと家庭の両方を充実させることは想像できない時代だったからです。 安倍晋三首相は景気回復の方策として女性の経済進出の機会を増やすことを約束しました。女性参画の拡大は、「すべての女性が輝く社会づくり」という彼の取り組みが功を奏したからです。一方で、大きな問題も残っています。「持っている時間を無制限に要求し、会社の気まぐれで働くことが期待される仕事文化が最大の障害です」と、日本航空株式会社取締役でワーキングウーマン・パワーアップ会議代表幹事の岩田喜美枝氏は説明します。 政府は「2.7百万人の女性が働きたい」と考えていると推定しますが、実際にはそうはなっていません。子供やお年寄りの世話に時間をとられ、仕事に行く時間が割けないのです。保育園の不足も要因の一つです。それに加えて、多くの女性が職場を避ける原因として、妊娠や出産休暇の取得に関するハラスメントの「マタハラ」を挙げています。パートタイムやアルバイトに限るしかなく、賃金、福利厚生、キャリア構築の面で好待遇が得られない女性もいます。日本の女性が平均的な男性の賃金の74%であることに対し、アメリカの女性は81%の収入を得ています。 格差は、特に高い職位で明白になっています。日本の内閣閣僚のうち女性は2名だけです。また、女性は天皇になることができません。英国の株価指数FTSEの企業でさえ7名の女性社長がいるのですが、日経平均株価指数に登場する企業には女性の社長はいません。 内閣府男女共同参画局長の竹川恵子氏は、日本はいくつかの面でアラブ諸国よりも劣っていると話します。日本の国会議員の女性の比率はわずか10%ですが、イラクでは27%です。科学研究員に関しては、日本では15%である一方、リビアでは25%となっています。女性の活用で知られるスナック菓子メーカー・カルビーの藤原かおり氏は、「ロールモデルがいないことが問題です。」と指摘します。 安倍首相は2012年に就任して以来、保育所を増やし、先月の総選挙では託児施設の無償化を公約しました。昨年から大企業は法令で女性活用の取り組みを文書化するよう要求されています。企業によっては在宅勤務やフレックス勤務の導入が進みました。 しかし、安倍首相と社会全体の取り組みは、文化な改善よりも、むしろ経済的な側面ばかりが前に進んでいます。安倍首相が所属する自民党員の多くは、労働人口縮小の対策として、大量の移民受け入れよりも女性を活用したほうが害が少ないと考えています。「大企業の社員であれば人生は安泰」という保証はもはや幻想であり、多くの男性が夫婦共働きを志向するようになっています。また、女性がお金について主張する機会が増えました。働く女性に関する著書がある京都外国語大学の根本 宮美子氏は、「不足しているのは、平等の価値についての議論です。」と述べています。 メディアは、女性の時代の「女性らしさ」の理想像を発信し続けることで、女性が如何に「女子力」を高めるかを喧伝していると根本氏は言います。これは「女性の能力」と解釈されますが、料理や縫製、素敵な弁当を料理できる女性に対して使われます。女性を「輝かせる」という安倍首相のキャッチフレーズにも、ある種の弱者に対する目線が感じられます。 働く女性が自宅で十分なサポートが得られていないという現状もあります。日本の標準的な夫婦共働きの家庭の場合、女性が1日に約5時間を家事に費やす一方で、男性は46分間であり、アメリカ人の男性より遥かに短時間です。インターネット上のコラムやオンラインフォーラムでは、ワンオペ育児(1人で育児をすること)という、もともとはコンビニエンスストアで1人勤務を強いられることに対する苦情に使われたフレーズが飛び交っています。東京のお茶の水女子大学のような女性の参画が浸透している職場でさえ、男性が規則で認められている育児休暇を取得するのはたったの3.1%です。 この状況を気にもかけない女性もいます。「男の兄弟はかわいそうです。男性は仕事が唯一の成功の道ですが、女性には成功する方法がたくさんあります。」と20歳の池田ひなの氏は話します。若い女性に野心がなく、保身ばかりを望むと嘆く女性もいます。北野氏は「女性がもっと発言すべきだと思いますが、ほどほどにすべきという文化があるのです。」と述べました。